あなたは、「カロナール」と「ロキソニン」について、
・カロナールとロキソニンの違いは何なんだろう?
・どちらが熱や痛みに効くのだろう?
・飲むときに気を付けることはあるのだろうか?
などと疑問に思ってはいませんか?
熱が出たときに飲む、カロナールとロキソニンの効果の違いもわかりにくいですよね。
結論から言えば、カロナールとロキソニンの主な違いは以下の3つです。
・薬の作用
・薬のタイプ
・薬の効果と副作用
そして、市販薬としてドラッグストアなどでも手軽に購入できる「カロナール」と「ロキソニン」ですが、正しい使用方法を理解せずに服用すると、さまざまな影響が出る可能性があります。
この記事では「カロナール」と「ロキソニン」の違いに加えて、発熱時や痛みがあるときの効果的な使用方法などを以下の4つにわけてお伝えします。
- カロナールとロキソニンの違い
- カロナールが向いている場合・ロキソニンが向いている場合
- カロナールとロキソニンに関する注意点6つ
- 急に熱が出たときどのように対応するか?
この記事を読むことで急な発熱などの際に、ご家族やご自分の健康管理に役立ててくださいね。
1章:カロナールとロキソニンの違い
発熱時の解熱剤として良く飲まれているカロナールとロキソニンですが、それぞれの特徴や違いがあります。
ここでは、
- カロナールの主な特徴
- ロキソニンの主な特徴
- カロナールとロキソニンの3つの違いについて説明します。
1-1:カロナールの主な特徴
カロナールは、おもな症状として発熱や体の不快感、頭痛がある場合に有効です。
また、カロナールは解熱鎮痛薬としても使われており、発熱を抑える効果があります。
他には、風邪やインフルエンザなどのウイルス性の感染症に一般的に使用されます。
カロナールは医師による処方箋が必要な薬であり、アセトアミノフェンという解熱鎮痛成分が含まれています。
カロナールと同じく主成分がアセトアミノフェンのみの市販薬には、以下のものがあります。
- ラックル
- タイレノールA
- バファリンルナJ
- 小児用バファリンCⅡ
- 小児用バファリンチュアブルなど
*薬によってアセトアミノフェンの含有量や対象年齢が異なるため、薬剤師に相談し、説明書通りに服用してください。
1-2:ロキソニンの主な特徴
ロキソニンは炎症や熱による痛みや不快感に適しています。
特徴としては、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)であり、炎症を抑える効果があります。
そのため、高熱や関節炎、筋肉痛、頭痛、生理痛などの痛みに効果があります。
ロキソニンの主成分はロキソプロフェンであり、医療用医薬品として30年近く使用されています。
ロキソニンは、痛み止めのラインナップに最近加わった薬です。
医師の処方箋が必要な医療用医薬品として使用されるほか、市販薬としても購入できる商品があります。
ただし、市販薬としては数多くの商品が販売されていますが、薬剤師による対面販売が必要です(第1類医薬品)。
医療用医薬品のロキソニンが一般用医薬品として初めて承認されたのは「ロキソニンS」です。他にも以下のような市販薬があります。
- ロキソニンSプラス
- ロキソニンSプレミアム
- ロキソプロフェン錠「クニヒロ」
- バファリンEXなど
1-3:「カロナール」と「ロキソニン」の3つの違い
カロナールは、熱が高くて頭痛があるときに使用するイメージがありませんか?
一方、ロキソニンは、痛みが強くて熱が高いときに使用するイメージがありませんか?
しかし、カロナールとロキソニンの使い分けには、それだけが重要な要素というわけではありません。
ここからは、さらに詳しくカロナールとロキソニンの3つの違いについてお伝えします。
1-3-1:薬の作用の違い
カロナールとロキソニンは鎮痛解熱薬として同じ様な効果がありますが、作用のメカニズムに違いがあります。
カロナール(アセトアミノフェン)は、脳の中枢神経や体温調節中枢に作用して解熱効果を示す非ピリン系鎮痛解熱鎮痛薬です。
ロキソニン(ロキソプロフェン)は、体内で痛みや炎症発熱を引き起こす物質であるプロスタグランジンの生成を抑えることによって、痛みや炎症を軽減し熱を下げる効果があります。
ロキソニンは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に分類されます。
作用のメカニズムの違い
商品名(成分の名称) | カロナール(アセトアミノフェン) | ロキソニン(ロキソプロフェン) |
分類 | 非ピリン系解熱鎮痛薬 | 非ステロイド性抗炎症薬 |
薬の作用 | 脳の中枢や体温調節中枢に作用 | 「痛み・炎症・発熱」などを引き起こす物質を抑える |
1-3-2:薬のタイプの違い
カロナールとロキソニンはそれぞれ異なる薬のタイプがあります。
商品名(成分の名称) | カロナール(アセトアミノフェン) | ロキソニン(ロキソプロフェン) |
飲み薬 | 錠剤・粉薬 *シロップ **ドライシロップ | 錠剤・粉薬 |
外用薬 | 座薬 | 貼り薬・パップ剤・ゲルローション |
*シロップ:液体の薬に糖類などを加えて飲みやすくしたもの
**ドライシロップ:シロップ剤から水分を抜き、粉状にしたもの
カロナール(アセトアミノフェン)は錠剤や粉薬・シロップ・ドライシロップなどの形態があります。さらに外用薬としても座薬が市販されています。
カロナールは苦味があるので、大人は錠剤、小児であれば座薬やシロップが使いやすくなります。
ロキソニン(ロキソプロフェン)は錠剤や粉薬は市販されていますが、粉薬は医師の処方箋が必要です。
また、外用薬としてはテープ剤・パップ剤・ゲル・ローションの形態があります。
(湿布の種類)
テープ剤:薄くて伸縮性があり、粘着性が高い湿布
パップ剤:不織布に水分を含む軟膏が塗布されて、厚みのある湿布
多くの製薬会社がロキソプロフェンという名前で製品を販売しているため容易に見つけられます。
1-3-3:カロナールとロキソニンの効果・副作用の違い
商品名(成分の名称) | カロナール(アセトアミノフェン) | ロキソニン(ロキソプロフェン) |
副作用の有無 | 比較的副作用は少ない | 副作用に注意が必要 |
副作用の症状 | 発疹・おう吐や食欲不振 | 胃腸障害 |
カロナール(アセトアミノフェン)とロキソニン(ロキソプロフェン)は熱や痛みを抑える解熱鎮痛薬として同様な効果が期待できますが、副作用には違いがあり注意が必要です
カロナールの効果や副作用
・カロナールは比較的副作用は少なく、一般的に安全性が高いとされています。
・妊娠中や授乳中の方でも処方されることがあります。
・長期間の使用により肝臓への影響に注意が必要です。
ロキソニンの効果や副作用
・ロキソニンは炎症や痛みを引き起こす物質を抑えるため、カロナールより効果が強いです。
・ロキソニンは胃腸障害のリスクが高い薬であり、胃腸が弱い方や消化管潰瘍の方は注意が必要です。
・妊娠中や授乳中の方にはほとんど処方されません。妊娠後期の方は市販薬でも服用できません。
・ロキソニンは赤ちゃんや小児の安全性が確立されてないため、小さな子どもには処方されず、子ども用の容量設定もありません。
・ロキソニンと同じ成分を含む市販薬も、15歳未満の服用は認められていません。
参考:【2022年】解熱鎮痛薬のロキソニンとカロナール。1分でわかる、作用や効果・副作用の違い – EPARKくすりの窓口コラム|ヘルスケア情報 (kusurinomadoguchi.com)
2章:カロナールが向いている場合・ロキソニンが向いている場合
カロナールもロキソニンも熱を下げたり痛みを抑えたりする効果がある薬であり、そのため副作用にも注意が必要です。
どちらを使用する際も、医師の指示や市販薬を服用するときも薬剤師の説明や説明書を参考にすることが重要です。
それぞれの特徴や違いから、カロナールやロキソニンに向いている場合は以下のようになります。
2-1:カロナールが向いている場合
カロナールは比較的副作用が少ない薬のため、妊婦や授乳中の方も服用できます。
また、シロップ剤など飲みやすいタイプもあり、小さい子どもにも向いています。
2-2:ロキソニンが向いている場合
ロキソニンは炎症を抑える効果があるため、関節痛や頭痛など痛みが強いときに向いています。
ただし、胃腸障害のリスクが高い薬なので、胃腸が弱い方は注意してください。
また、妊娠中や授乳中の人には使われていません。
さらに、ロキソニンは赤ちゃんや小児の安全性が明らかではないため、小さな子どもは使用できません。
3章:カロナールとロキソニンに関する注意点6つ
3-1:子どもにロキソニンは使用できない
ロキソニンは15歳未満の小児には内服やシップ剤などとして使用できません。
15歳未満の方にはロキソニンと同じ成分の市販薬も承認されていません。
一方、カロナールは小さな子ども用に飲みやすいシロップ剤や座薬なども処方されます。
子どもの場合は体重によって用量が決まるため、必ず医師の指示通りに使いましょう。
3-2:妊婦や授乳中の方はカロナールの使用が可能
ロキソニンは妊娠中に服用すると、母体や胎児への影響が報告されています。
また、授乳中も母乳を介して子どもへの影響があるため、使用できません。
一方、カロナールの成分は妊娠中でも服用できるアセトアミノフェンです。
そのため、妊娠中に高熱がつらい場合には、カロナールが最も処方されています。
ただし、カロナールも必要最低限の服用が大切であり、特に妊娠28週以降は医師とよく相談しながら使ってください。
3-3:何らかの病気を患っている場合は主治医と相談する
持病がある方は症状が悪化する可能性がありますので、カロナールやロキソニンを服用する際には必ず主治医と相談してください。
カロナールが使用できない病気として、
- 消化管潰瘍
- 血液の異常
- 肝機能障害
- 腎機能障害
- アスピリン喘息
などが挙げられます。
ロキソニンが使用できない病気として、
- 喘息
- 消化管潰瘍
- 血液の異常
- 肝機能障害
- 腎機能障害
- 高血圧
- 心臓病
などが挙げられます。
また、高齢者への投与でもふらつき、転倒、記憶障害などが現れる場合があります。
3-4: 頭痛や痛みがあり服用する場合に気を付けたいこと
頭痛や他の部位の痛みがある場合には、カロナールやロキソニンを服用すると症状が改善しやすいです。
しかし、痛み止めとしてのカロナールやロキソニンはあくまでも対症療法(病気の原因ではなく、主要な症状を軽減するために行う治療)として用いられます。
カロナールやロキソニンを自己判断で長期間服用するのはやめましょう。
効果がないときは、受診して精査してもらうことが大切です。
また、痛み止めを長期的に服用することは好ましくありません。
必要以上の痛み止めを飲み続けると、頭痛が増強することがあります。
その原因は、多量の痛み止めが体内に入るため、痛みに対する神経が敏感になり、弱い痛みでも強い痛みだと感じるようになるからです。
3-5:カロナールとロキソニンの併用は原則できない
カロナールとロキソニンの併用は原則できません。
カロナールはロキソニンと比べて、炎症を抑える作用が弱いため、痛みに対して効果が薄いことがあります。(カロナールの成人における1日の摂取量の上限は鎮痛時4,000mg、発熱時1,500mgと定まっています)
一方、ロキソニンは胃の粘膜にダメージを与える作用があります。さらに、インフルエンザのときにロキソニンを服用すると、インフルエンザ脳症を引き起こす恐れがあります。
市販のロキソニンの説明書には「他の解熱鎮痛薬と併用できません」と記載されているものもあります。
痛み止めを増量または併用したい場合は、処方した医師に相談してください。
3-6:新型コロナワクチン後やかかってしまったときの服用方法
新型コロナにかかってしまい、熱が出たときにはカロナール、ロキソニンのどちらも服用できるので、常備しておくことをおすすめします。
その際には、2章や3章(3-1から3-5)を参考にして飲み方に注意してください。
また、新型コロナワクチン接種後の副反応が出たときにも、カロナールやロキソニンは効果があります。
しかし、ワクチン接種後の副反応を予防するために、無症状のうちに飲むことはやめましょう。
なぜなら、前もって服用することでワクチンの効き目が十分に作用しない場合もあるからです。
参考→1)日本薬局方 ロキソプロフェンナトリウム錠
3)痛み止め(鎮痛薬)の使い過ぎ・乱用は頭痛のもと 正しい薬ののみ方とはhttps://www.nhk.or.jp/kenko/atc_754.html
4章:急に熱が出たときの対処法
熱が出る場合はインフルエンザや新型コロナなどの感染症だけでなく、 気温の上昇やうつ熱(体温調整機能の低下により体温が上昇すること)、脱水など、さまざまな原因が考えられます。
そのため、熱が上がってきた場合、最初に解熱剤を飲むことはおすすめできません。
そこで、4章では、熱が出たときの適切な対処法を説明します。
*小さな子供の場合は熱性けいれんなどを考慮し、別の対処法が必要です。
参考⇒ひかりこどもクリニックhttps://miyakawa-clinic.jp/menu/%E7%86%B1%E6%80%A7%E3%81%91%E3%81%84%E3%82%8C%E3%82%93/
4-1:急に熱が出たときの対処法
熱が出た場合の対応方法として、以下のようなものが挙げられます。
- 熱を測る(首などを触って通常との違いを確認する)
- 体を冷やす
- 安静を保つ
- 十分な水分や栄養を摂る
- 解熱剤を飲む(4章-2を参照にしてください)
- 受診する
それぞれの対処法を順番に説明します。
1、熱を測る
熱の上昇が始まり寒気や震えの症状がある場合は、掛け物を増やすなどの保温が重要です。
熱が上がりきる前に解熱剤を服用しても効果が出にくいことがあります。
2、体を冷やす
寒気や震えがおさまったら、体を冷やすことで熱を下げます。
太い血管のある脇や太ももの付け根を冷やす方法が有効です。
氷をビニールにいれたものや小さなアイスノンをタオルに包んで当てる方法があります。
頭やおでこを冷やすのは気持ちが良いですが、急激に体温を下げるには効果が薄いです。
3、安静を保つ
からだを休ませるようにしましょう。
まずは、常温の水や温かい飲み物を摂り、体を安静に保ちましょう。
体温上昇による脱水症状を予防するため水分摂取が重要です。
水や麦茶、経口補水液などを少量ずつこまめにとりましょう。
高体温で汗をかいた場合は着替えも必要です。
4、十分な水分や栄養を摂る
熱が上がると体力やエネルギーが消耗します。
食欲がない場合でも、水分や消化の良いものを摂るようにしましょう。
5、症状が重く飲食ができない場合は、早めに受診しましょう。
発熱外来やホームドクターに相談して診察を受けることが重要です。
自宅に検査キットがある場合はチェックしてから受診することも考慮しましょう。
参考:1)【医師監修】解熱剤が効かない?解熱剤の種類と使うタイミング、効果や副作用について (iekuru-dr.com)
2)発熱時のケア~回復をサポートする3つのタイミング~|赤十字NEWSオンライン版|広報ツール・出版物|赤十字について|日本赤十字社 (jrc.or.jp)
4-2:発熱時のカロナールとロキソニンの効果的な服用方法
カロナールやロキソニンなどの解熱剤の効果的な使い方について説明します。
熱を下げることは、あくまでも症状を和らげる治療に過ぎません。
解熱剤は、体温が上がってつらいと感じたりつらそうに見えたりするときに使用するのが良いでしょう。
また、解熱剤は痛みを抑える作用もあるため、熱がないときでも痛み止めとして使用できます。
子どもの場合、38,5℃を目安に指導する医師も多いようですが、40℃近い高熱でも子どもが元気で水分や食事がとれている場合は、解熱剤を使わずに様子を見ても大丈夫です。
まとめ:カロナールとロキソニンの違いは主に3つ
結論としてカロナールとロキソニンの違いは、以下の3つにまとめられます。
1.作用の違い
カロナール(アセトアミノフェン)は非ピリン系の鎮痛解熱薬であり、脳の中枢神経や体温調節中枢に作用して解熱効果を示します。
ロキソニン(ロキソプロフェン)は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に分類され、体内で痛みや炎症・発熱を引き起こす物質であるプロスタグランジンの生成を抑えることによって痛みや炎症を軽減し、熱を下げる効果があります。
2.薬のタイプの違い
カロナール(アセトアミノフェン)は錠剤、粉薬、シロップ、ドライシロップ、座薬などの形態があります。
ロキソニン(ロキソプロフェン)は錠剤、粉薬、貼り薬、パップ剤、ゲル、ローションなどの形態があります。
3.副作用や効果の違い
カロナール(アセトアミノフェン)は一般的に副作用が比較的少ないとされますが、まれに発疹、吐き気、食欲不振などの副作用が報告されています。
ロキソニン(ロキソプロフェン)は胃腸障害(胃炎、胃潰瘍など)のリスクが高いため、胃薬と併用されることがあります。妊娠中や授乳中の方には処方されないことが一般的です。
またロキソニンは小児への安全性が確立されてないことから、15歳未満の使用はできません。
薬の使用に関しては医師の指示に従うことが重要です。
特に妊娠中や授乳中、何らかの病気がある場合は、医師に相談してご自身に合った薬を選択してください。
市販薬を用いる場合も、薬剤師がいるドラッグストアなどで相談しながら服用することをおすすめします。
カロナールとロキソニンの違いを理解し、発熱時などに適切な体調管理を行いましょう。
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