あなたは
- 風邪(かぜ)の症状(鼻水・のどの痛み・微熱など)で受診するには何科が良いのか
- 風邪症状で受診する際、子どもと大人では違う科を受診するべきなのか
- 風邪をこじらせないための、注意点や対処法を知りたい
と思っていませんか?
風邪には、さまざまな症状があり、受診する際何科が良いか迷う場合がありますよね。
基本的には、内科や耳鼻咽喉科(耳鼻科)などで問題ありません。
特定の症状が強く表れている場合は、専門科の受診をオススメします。
たとえば、鼻やのどの症状が見られる場合は、耳鼻科の受診がオススメです。
せきが止まらない、呼吸が苦しい、体がだるいときは、呼吸器科や内科を受診しましょう。
子どもの場合は、かかりつけの小児科に相談するのが良いでしょう。
この記事読むと、風邪を引いたときにどのような病院を選べばよいか、どのような検査や治療が受けられるか詳しくわかります。
この記事の内容として、
1章では、風邪症状での何科を受診するかは、症状で決めるのがオススメ
2章では、風邪をこじらせないために気をつけるポイントは主に2つ
3章では、風邪で受診する際、注意すべき他の感染症は主に3つ
まとめとして、風邪で受診の際に何科が良いか迷ったときは、症状に注目する
をお伝えします。
ご家族やご自身が風邪を引いたときは、早めに適切な病院などを受診し、こじらせないうちに治しましょう。
1章:風邪症状での何科を受診するかは、症状で決めるのがポイント
「風邪を引いたかな?」と感じたときは、内科や耳鼻科どちらを受診しても診てもらえます。
だたし、高熱や全身症状がある場合や、鼻やのどなど部分的な症状が気になるときは、専門的な診療科を受診するのが良いでしょう。
専門的な診療科とは、以下のとおりです。
- 内科や呼吸器科
- 耳鼻科
それぞれ説明します。
1-1:風邪症状で内科や呼吸器科を受診する場合の症状とその理由
風邪の症状でも、熱が下がらずぐったりしたり、呼吸の苦しさが見られたりするときは、内科や呼吸器科を受診しましょう。
重症化のリスクがある場合は、早期の診断や治療が重要です。
子どもが、食事も食べられず活気がない場合には、かかりつけの小児科に相談してみましょう。
1-1-1:せきや呼吸の苦しさがあるときは、呼吸器科や内科を受診する
風邪症状として、せきこみや息苦しさ、呼吸がゼーゼーしているときは、内科や呼吸器科の受診をオススメします。
内科では、医師が聴診器で胸の音を聴き、気管支や肺の異常を見極められます。
肺炎の疑いがある場合、医師の指示で胸のレントゲン写真を撮ることもあります。
こうした診察や検査は、内科や呼吸器科で実施可能です。
1-1-2:だるくて水分や食事がとれないときも内科がオススメ
風邪だと思っても、高熱が続いたり、体のだるさなどで食べたり飲んだりできないときも、内科を受診しましょう。
感染症のチェックのほかに、血液検査も行えますし、症状が重い場合は点滴や入院治療が必要な場合もあります。
こうした診察や検査は、内科や呼吸器科で実施可能です。
症状が持続する場合や深刻な呼吸器の異常が疑われる場合は、早めの受診が重要です。
医師の専門的な診断と適切な治療が早期から行われることで、症状の軽減や合併症の予防につながります。
1-2:風邪症状で耳鼻科を受診する場合の症状とその理由
風邪を引いても、元気で食欲もあり、鼻やのどの症状が気になるときは、耳鼻科を受診するのがオススメです。
1-2-1:鼻やのどの症状のときは、耳鼻科がオススメ
風邪の初期症状は、鼻水やのどの痛み、せきなどの耳や鼻に関する部分の症状が多く見られます。
これらの症状が悪化すると、ちくのう症(副鼻腔炎)や中耳炎などの別のトラブルが一緒に起こりることもあります。
とくに小さい子どもは、鼻がうまくかめなかったり、鼻や耳の発達が未熟だったりするため、細菌などに感染しやすいです。
1-2-2: 耳鼻科では、専門的な検査や治療ができる
耳鼻科では、副鼻腔炎を診断するために鼻の中を直接診察したり、レントゲン写真を撮ったりして、副鼻腔の炎症を確認できます。
また、鼻をうまくかめない子どもには、吸引(管を使って機械的に鼻水を取り除く処置)で鼻水を取り除くことも可能です。
さらに、風邪からくる中耳炎を早めに診断するために、耳の中を顕微鏡で直接見ることもできます。
コラム1:風邪とは、ウイルス感染による上気道炎のこと
風邪は正式には、「風邪症候群」と言います。
具体的には、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・のどの痛み・痰・発熱などの症状を起こす急性の上気道感染症のことです。
(*上気道とは鼻からのどのこと)
風邪の原因は、80~90%がウイルス感染です。
残りは、細菌などウイルス以外による感染となっています。
風邪を引き起こすウイルスは、200種類以上あると言われており、原因を特定することは困難です。
ウイルスと細菌の違いはこちらをご覧ください。
2章:風邪をこじらせないために知っておくべき2つのポイント
「風邪は万病のもと」と、昔から言われているように、風邪は油断せずに注意が必要です。
風邪をこじらせないために知っておくべきポイントは以下の2つです。
- 二次感染に気をつける
- 風邪をこじらせたときに疑われる病気
それぞれ説明します。
2-1:風邪をこじらせないためには二次感染に気をつける
まず、風邪に起こりやすい二次感染について説明します。
風邪は、身体の免疫力が低下したときに引きやすくなります。
ウイルスが原因の風邪には、特効薬はありません。(インフルエンザウイルスには特効薬があります)
そのため、症状を和らげる薬と休養や栄養を十分摂りながら、自分の免疫力による回復が望ましいです。
ただし、細菌性の風邪や、体の身体の抵抗力が弱まった状態での二次感染には十分な注意が必要です。
■二次感染とは
風邪は2~3日で治りますが、それ以上症状が続く場合、細菌感染による二次感染が考えられます。
激しいせきや膿のような痰、高熱や呼吸の苦しさなどに注意が必要です。
■二次感染の原因
風邪のウイルスで傷ついた粘膜に、のどや鼻にいた細菌が取りついて、悪さをするのが二次感染です。
■二次感染の予防と治療
風邪の鼻水や痰を溜まったままにしておくと、細菌が増えて二次感染が起こりやすくなります。
風邪をこじらせないために大事なことは、
- 鼻をよくかむこと
- 部屋の加湿
- 水分を多めにとって痰を出しやすくする
- 体を休める
- 栄養を十分摂る
などです。
二次感染の場合は、より詳しい検査や診断、抗生物質などの治療を行います。
また、のどが赤くなり膿がつく、扁桃腺の腫れなどの症状で細菌感染が疑われる場合には、医師の指示に従い抗生剤を使うことがあります。
抵抗力の弱い子どもやお年寄りは、風邪を引く回数も多く、二次感染も起こしやすいため、症状が軽いうちの受診をオススメします。
2-2:風邪をこじらせたときに疑われる6つの病気
病気の名前 | 主な症状 | 受診をオススメする科 |
副鼻腔炎 | ドロッとした黄色い鼻水・顔の痛みなど | 耳鼻科 |
中耳炎 | 耳の痛みや発熱・耳だれなど | 耳鼻科 |
扁桃炎 | のどの痛み・発熱 | 耳鼻科 |
気管支炎 | のどの痛み・痰・発熱 | 内科 ・呼吸器科 |
肺炎 | 高熱・激しいせき・呼吸の苦しさなど | 内科 ・呼吸器科 |
喘息 | ゼーゼー、ヒューヒューと苦しそうな呼吸の音 | 内科 ・呼吸器科 ・アレルギー科 |
風邪がこじれると、以下の病気が疑われことがあります。
- 副鼻腔炎
- 中耳炎
- 扁桃腺炎
- 気管支炎
- 肺炎
- 喘息
それぞれ説明します。
2-2-1:副鼻腔炎(ふくびくうえん)
鼻の中にある粘膜に覆われた副鼻腔という空間に、炎症を起こした状態が副鼻腔炎です。
主な症状は、ドロッとした黄色い鼻水、顔の痛み、鼻が詰まって頭がボーとすることが挙げられます。
医師が、内視鏡や鼻のレントゲンで鼻の中を見て、副鼻腔炎かどうか診断できます。
鼻水の吸引や、ネブライザー(鼻や口から細かい霧状の薬剤を吸入)療法も治療の一つです。
抗生剤などの治療薬が、処方されることもあります。
2-2-2:中耳炎(ちゅうじえん)
耳の中の中耳(耳の鼓膜から奥の部分)に炎症が起きた状態を中耳炎と言います。
耳の痛みや発熱、耳だれ、耳が聞こえにくいなどが主な症状です。
小さい子どもは、「耳をよく触る」「機嫌が悪い」「食欲がない」などのサインのときに、中耳炎の疑いがあります。
原因は、ウイルスや細菌が耳に感染するためです。
とくに子どもは、耳管(耳・鼻・のどをつなぐ管)が短く、鼻をかまずに吸ってしまうことも多いため、のどや鼻についたウイルスなどが耳に入り込みやすくなっています。
医師は、顕微鏡で鼓膜を見たり、細菌検査をしたりして、中耳炎かどうかを診断します。
治療は、痛みに対しては痛み止めの処方が一般的です。
膿が溜まった場合は、鼓膜を切って膿を出し、抗生剤が処方されます。
中耳炎を繰り返す場合は、鼓膜にチューブを入れる手術が必要になることもあります。
2-2-3:扁桃炎(へんとうえん)
扁桃腺(下の付け根の両側にあるこぶのような部分)に、細菌などがついて発症します。
主な症状は、のどの痛みと発熱です。
炎症が強いと、食事が摂れなくなります。
医師が直接、扁桃腺を見て診断し、細菌や溶連菌の検査が必要な場合もあります。
抗生剤や痛み止めが医師の指示で処方され、症状が重い場合は、抗生剤の点滴が必要です。
*ここで説明した副鼻腔炎・中耳炎・扁桃炎は、耳鼻科での診察がより適切な検査や治療が受けられるでしょう。
2-2-4:気管支炎(きかんしえん)
のどや鼻の炎症が気管支まで広がると、のどの痛みや痰のほかに、発熱をともなうことがあります。
原因は、風邪と同じようにウイルスが多いですが、細菌の場合もあります。
せきや痰などの症状がある場合、レントゲン撮影や血液検査も必要です。
治療は、せきを止める薬や痰が出やすくなる薬、抗生剤が処方されます。
2-2-5:肺炎(はいえん)
ウイルスや細菌が肺まで達し、炎症を起こす病気です。
風邪をきっかけに発症し、急に悪化することがあり、注意が必要です。
症状には、高熱や激しいせき、呼吸の苦しさ、息を吸ったときの胸の痛みなどがあります。
主な原因は、肺炎球菌ですが、ウイルスや微生物、アレルギーでも発症します。
医師が聴診器で胸の音を聞くと、肺炎独自の音が明らかです。
その後、胸のレントゲン撮影で肺の中が白くうつると、肺炎と診断されます。
治療には、抗生剤の他に、熱を下げる薬やせきなどの症状を和らげる薬が処方されます。
症状が重くなると、入院での治療になることも多いです。
*気管支炎や肺炎は、全身症状や発熱をともなうこともあるため、内科や呼吸器科で診てもらうことをオススメします。
2-2-6:喘息(ぜんそく)
風邪のウイルスの刺激で、喘息の症状が悪化することがあります。
主な症状は、呼吸の苦しさで、ゼーゼー、ヒューヒューと苦しそうな呼吸の音が特徴的です。
せきや痰をともない、夜中や朝方に症状がひどくなることがあります。
原因は、ダニなどのアレルギーやウイルス感染です。
問診では、過去の発作や、アレルギーの有無を確認します。
胸のレントゲン検査や呼吸器検査で、喘息と診断された場合、アレルギー検査も行います。
治療には、症状をコントロールするため、長期にわたるステロイドの吸入薬などが必要です。
発作のときは、気管支拡張薬で症状を緩和させます。
喘息の場合、内科で診てもらえます。呼吸器内科やアレルギー科を受診するのもオススメです。
3章:風邪で受診する際、注意すべき他の感染症は主に3つ
病気の名前 | 主な症状 | 受診をオススメする科 |
インフルエンザ | 高熱や体の痛みなど強い全身症状 | 内科(子どもの場合は小児科) |
新型コロナウイルス感染症 | 重症化すると、高熱・肺炎・呼吸困難 | 子どもの場合は小児科 15歳以上は内科・呼吸器科 |
溶連菌感染症 | のどの痛みや発熱 | 内科(小児科)・耳鼻科 |
咽頭結膜熱(プール熱) | 発熱・のどの痛みや腫れ・充血や目ヤニ | 内科(小児科)・眼科 |
この章では、初期の症状が風邪と区別しにくい主な3つの感染症のほかに、コラムには昨年から流行中の咽頭結膜熱(プール熱)も挙げました。
- インフルエンザ
- 新型コロナウイルス感染症
- 溶連菌感染症
それぞれ説明します。
3-1:インフルエンザ
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症です。
インフルエンザウイルスにはいくつかの種類があり、その年によって流行するものが変わります。
また、インフルエンザウイルスに対する特効薬も出ています。
症状は、高熱や体の痛みなど強い全身症状が特徴的です。
その後、のどの痛みや鼻水、せきなどの風邪のような症状が出てきます。
インフルエンザが疑われた場合、持病がある方や妊娠中の方は、かかりつけ医に相談しましょう。
それ以外の方は、内科(子どもの場合は小児科)を受診するのが良いでしょう。
3-2:新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症は、新型コロナウイルスに感染して起こる病気です。
軽い場合は、風邪との区別は難しく、ほとんどの人は約1週間で自然に治ります。
しかし、重症化すると、高熱・肺炎・呼吸困難になり、場合によっては命にかかわることもあります。
「普通の風邪ではないかも?」と思ったときは、早めに病院を受診しましょう。
子どもの場合は小児科を、15歳以上の方は内科か呼吸器科の受診がオススメです。
3-3:溶連菌感染症(ようれんきんかんせんしょう)
溶連菌感染症は、A群β溶連鎖球菌と呼ばれる細菌による感染症です。
うつる経路は、飛沫感染(せきやくしゃみによって菌が広がること)です。
症状には、のどの痛みや発熱があります。
場合によっては、体や手足に発疹(皮膚の一部が赤くなったり、急にブツブツが出たりする当然起こる皮膚の変化)が現れたり、首のリンパ節が腫れたり、口の奥に赤いポツポツが出たりすることもあります。
溶連菌感染症の検査は、内科や耳鼻科で可能です。
コラム2:インフルエンザの検査を受ける際に気をつけること
インフルエンザの簡易検査は、薬局などでも手に入るため、ご自分で実施する場合もあるでしょう。
この検査は、鼻に綿棒を入れて粘膜を採る方法で行います。
インフルエンザの検査は、感染の初期段階でも遅すぎる時期でも、正確な結果や適切な治療が得られないことがあります。
発熱してから、半日~24時間のタイミングで検査を受けるのが適切です。
理由として、検査が早すぎると結果が偽陰性(ウイルスが少ないために陰性になる)になることがあります。
また、抗インフルエンザウイルス薬は、発症してから48時間以内に使うのが効果的です。
そのため、インフルエンザの診断が遅れてしまうと、薬の効果が得られない可能性もあります。
インフルエンザウイルスの検査は、適切な時期に行うようにしましょう。
コラム3:今年流行している咽頭結膜熱(プール熱)について
風邪症状とはやや異なりますが、去年から子どもだけでなく大人にも広がっている咽頭結膜熱(プール熱)について説明します。
咽頭結膜熱は、「アデノウイルス」が原因で、プールの水を介してうつることが多いため、「プール熱」とも呼ばれています。
アデノウイルスは、大人にも感染し、感染経路は、飛沫感染や接触感染(ウイルスを触ることでうつる)です。
一般的な症状には、発熱や、のどの痛みや腫れ、目の充血や目ヤニが含まれます。
小さい子どもでは、重症化することもあるので十分な注意が必要です。
熱が下がっても、感染する可能性があるため、家族や職場の人への感染予防が重要です。
とくに、目の充血などの結膜炎の症状がある場合は、眼科の受診をオススメします。
まとめ:風邪で受診の際に何科が良いか迷ったときは、症状に注目する
この記事でお伝えしたことは、以下のとおりです。
●風邪症状で何科を受診するかは、症状で決めるのがオススメ
1:風邪症状で内科や呼吸器科を受診する場合
・せきや呼吸の苦しさがあるときは、呼吸器科や内科を受診する
・だるくて水分や食事がとれないときも内科がオススメ
2:風邪症状で耳鼻科を受診する場合
・鼻やのどの症状のときは、耳鼻科がオススメ
・耳鼻科では、専門的な検査や治療ができる
■ぐったりしていて食事も食べられないときは、全身を見てもらえる内科などを受診し、
比較的活気があり、鼻やのどの症状が気になるときは耳鼻科の受診をオススメします。
●風邪をこじらせないために気をつけるポイントは主に2つ
・二次感染に気をつけることの重要性
・風邪をこじらせたときに疑われる病気として
- 副鼻腔炎
- 中耳炎
- 扁桃炎
- 気管支炎
- 肺炎
- 喘息
の6つの病名をピックアップしました。
■風邪をこじらせて、他の病気を併発しないためには、早めの受診や適切な治療が重要です。
●風邪で受診する際、注意すべき他の感染症は主に3つ
- インフルエンザ
- 新型コロナウイルス感染症
- 溶連菌感染症
■インフルエンザウイルス検査を受ける際の注意点や今年流行しているプール熱についても解説しました。
風邪症状はさまざまで、診察を受ける際には戸惑うことがあるでしょう。
まずは、大人の場合は内科、子どもの場合はかかりつけの小児科を受診するのが良いでしょう。
もし、発熱やだるさがない場合には、副鼻腔炎や中耳炎を予防するためにも、耳鼻科の受診をオススメします。
風邪を引きやすい時期でもあるため、受診の際にはこの情報を参考にしていただけると幸いです。
【参考】
1)一般社団法人日本感染症学会:気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言.
(厚生労働省)
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